Matrixって何だ?
http://www.propellerheads.se/substance/discovering-reason/index.cfm?fuseaction=get_article&article=part4
これは自分自身のためになるからぜひ見ておこう。あなたがこれを好んで使っているか無視しているかはともかく、Reason中でもこの特別なデバイスには不明確な部分がたくさんある。あまりひとくくりになり過ぎないように、こう言っても差し支えないだろう。従来のキーボードプレイヤーはまずはじめにこう尋ねる「いったい何のためにあるの?」と。
あなたがキーボード職人か「ごった塗り(paint-by-numbers)」のコンポーサであるかを問わず、Matrixはもっとも望みどおりになりうるものだ。あなたが他のもっと重要なことに集中している間に退屈な作業を自動化してくれるような、頼りになる座敷わらし(house elf)ととらえてもいい。あるいは、背面に奇妙なCV/Gate端子を備えて、おもしろくて予測できない事態を引き起こす電子機器上のバグだと考えてもいい。
 
The Matrix Reloaded
Matrixの深遠を見据えて新しいReasonの2.5世代目を世に送り出すことの理由(Reason)は、全体的に改善が施されたことによる。Spider CV Splitter & Mergerは2.5で追加されたもので、ひとつのMatrixから複数的に山火事のようにラック全体へと影響を及ぼすことができる。2つのSubtractorと2つのMalstromで、同じベースラインを演奏してみるのはいかが?あと16のシンセのボリュームを一気にオートメーションするとか。天井知らずだ。でもこのロケットに乗り込んでラックをMatrixだらけにする前に、Matrixで何ができるのかをデバイスごとに見ることにしよう。
 
 *1
 
Matrixの接続を待っているのはこれらの149インプットだ。じゃあ僕たちは何を待とうか?
 
Matrixを仕掛けておく(A few ma-tricks up the sleeve)
Matrixのパターンを作るのは時間がかかるので、プリセットされたMatrixをデフォルトのカスタマイズソングに入れておくのはいい考えだ。ふつうは、音楽のプリセットのパターンはめっちゃ便利とは言えないかもしれないが、(Matrixで)多くの使いやすいCurveやGateを即座に利用できるよう準備しておくのはありだ。基本的なのはこんなん:
(図)
コツ:Shiftを押しながらドラッグすると連続的なカーブやノートの線を引くことができる。
こういったカーブはフィルターをかけたり、パンのオートメーションや、音量のオートメーションとかほかの事をするのにも便利だ。これらの基本的なカーブを覚えておいて、Matrixというプラグインの用途について書いた上のリストを読めば、これら(上図)を即座に使えること請け合いだ。
カーブは固定の解像度で描くしかないが、パターンの時間解像度(the time resolution)を変えることによって簡単にスピードを変えられる。1/32モードなら、上のパターンは一小節で、1/16に変えれば2小説で、1/64なら半小節で、それぞれ演奏される。
もちろん、Randomize PatternやAlter Patternをすることもできる。ランダム化されたノートが音楽的に正しい音や目覚しい結果を出すことはめったにないけど、ランダム化されたCurveやGateは面白くてためになる出力をすることがよくある。*2
Spider CVモジュールを使って2つの基本的なMatrixのカーブを合成することによって、めちゃくちゃなカーブを生成できる。例えば同じカーブを違うスピードで流すとか!
 
燃料噴射(Fuel Injection)
じゃあ例として。まずはシンプルでありながら印象的な”before and after”というデモソングで、Matrixの深みのあるエフェクトのお手並みを拝見しようか。そのエフェクトはちっぽけなCV/Gateという口だけど、たとえ実際のノートをMatrixからでなくキーボードから演奏するのだとしても、曲中で効果を発揮してくれる。これまでの歴史では、ReasonのユーザはMatrixとそのCVのパワーを見過ごしていたことを示しているし、またモジュレーションソースとして楽器が提供してくれる能力を制限する道を選んでいたことをも示している。
この断片的な例では、Matrixを完全にランダムパターンにして、そのシグナルをSpiderモジュールを通してMalstromとScreamのほとんど全部の穴にぶち込んだものだ。ちょっとした音源がある。これがそのターボをかける前で:fuel.rns|(mp3)そしてこれが発射したあとだ:fuel injected.rns|(mp3)
どっちのほうが刺激的?
 
マルチタスクReDrum
ドラムマシーンでパターンスタイルのプログラミングをするのは、新しいパターンがいちいち必要になるから本来的にめんどくさいものだ。でもなんで偉大な「マルチタスクの」パターンシーケンサーを実現するものとしてMatrixを利用しないんだ?それぞれのReDrumチャンネルを利用するために独立したレイヤーがあるというのに。このやりかたには多くの長所がある:
 ・パターンのバリエーションは、担当している音のだけのためにあり、残り(担当していない音)は独立して鳴らす事ができる(例:スネアドラム用のMatrixは、バスドラムハイハットが変わらないままであっても、一時的にスネアのロールパターンを変えることができる。)
 ・それぞれのドラムチャンネルは独立した時間解像度を持つことができる(例:ハイハットを32ステップで1/32の解像度でプログラミングしつつ、バスドラムは8ステップで1/8の解像度にする)
 ・ベロシティの解像度を1〜3から1〜127にできる
 ・ドラムはMatrixから来るGate信号だけでトリガーされるので、お望みならCurveをドラムのピッチをコントロールするものとして使える
 ・エディットモードに切り替える必要なく、ラック内でそれぞれのドラムパターンをあらかじめ表示
 ・ReDrumのパターンデータとMatrixのパターンデータを組み合わせられるから、ReDrumのチャンネルごとにMatorixを10個作ることなく、いろんなバリエーションを実現できる
この例で3つのReDrumチャンネルをバスドラム、スネア、ハイハットに使っている。スネアとハイハットではそれぞれの2パターンを切り替えたり、違う時間解像度とピッチオートメーションを使ったりしているが、バスドラムはあくまでも固定だ。
multidrum.rns|(mp3)
 
ずるいやり方再び(The Return of Dirty Trick
”Dr.REXに聞いてみよう”の”ずるいやり方1”を覚えているかな?もう一度あれと同じ事を、偽アルペジエータをMatrixと1組のシンセを使ってやってみよう。そのアイデアは、楽器の背面にあるOsc Pitch inputの横にある”Osc Pitch”ノブを右いっぱ(値127)いにまわしてCVの入力を”増幅”させるというものだ。そうすることでセミノート値に100%の正確さで反映されるから、Curve CVを使う代わりにNote CVを使えるわけだ。これはより直感的であるだけでなく、Curve CVを他のことのために残しておけるのだ。
ひとつのSubtracktorとひとつのMalstromをコントロールするためにMatrixを使うことで、MatrixのデータをMIDIノート入力と組み合わせられる。そうするためにはSpider CV Merger & SplitterでMatrixの信号をを分割する必要がある。ここに手本のファイルがある:digibubbles.rns|(mp3)
さて曲を開いて信号の経路をたどってみよう。MatrixはNoteCVをSpiderモジュールに送り込み、信号を2つに分割させることで、それぞれをシンセに半音階単位で反映(boost)している。MatrixはGateデータも送っている。Spiderによって分割されてSubtractorのFilter Env入力と、MalstromのFilter(Filter Envではない)CV入力に送られて、リズミカルなテクスチャをそれぞれのサウンドに与えている。MatrixからのCurve出力は最終的にはSubtractorのFilter 1 Freq CVにつながっている。でもちょっと待って、これは音を発していないのだ(!)。あなたがやらなければいけないのは、それぞれのシンセにMIDIノートを供給することだ。ひとつの音を保持させることで、Matrixはその「根音(root note)」に応じてメロディーを奏でる。単音でもコードでも構わないし、Matrixを休憩させておくのもいい。手本のファイルではすでにMIDIノートが配置されているけど、別にそれをミュートして自分自身のアイデアで演奏して構わない。パターンにもっとバリエーションが必要だと思うなら(メジャー/マイナースケールに切り替えるとか)、別のスロット(Matrixのパターン)にコピーしてどうにでも好きなように変えてやればいい。
 
終わりに
ネオよ、真実は暴かれた。*3

*1:Reazonのバージョン毎とそれぞれの機器毎のCV/Gateの羅列でしかなく、テクニックの解説もないので割愛

*2:Whileが逆説の用法で使われているのはめずらしいのでは。原文:While randomized notes seldom produce a musically correct or appealing result, randomized curves and gates often turn out interesting and useful.

*3:The truth is out there, Neo. たぶん映画のせりふかなんかだろう