スウェーデンの本家REASONのDiscovering Reasonというチュートリアルが大変参考になるので翻訳してみます。シリーズ全部を訳すほど続けられるかわからないので期待しないでください。英語が得意というわけではなく、単にREASONというソフトウェアが好きなだけなので、正確に知りたければ翻訳を注意深く見るより本家の英語を読んでください。()内は、日本語にするにあたって足りない部分や、単に訳せなかったところです。

もしもしReDrum
http://www.propellerheads.se/substance/discovering-reason/index.cfm?fuseaction=get_article&article=part2
ReDrum、と女は書いた。
ドラムマシーンとハードウェアシーケンサーは早くも、そして恐ろしいことに死に絶えてしまったのは1990年代の後半であり、これはハードウェアサンプラーや、サンプルプレイヤー、ワークステーションシンセ、コンピュータベースのソフトウェアが彼らの先輩の不幸を省みずに追いやってしまった時代だ。
新しい世代は大衆に、ロボットのように堅苦しくて廃れたあのナントカカントカとははっきりと対をなすものとして「人間的感覚」の要素を提案した。その目的は、まさにその時代らしいものではあるが、完全に本物の楽器と本物のミュージシャンを作るというものだった。ハードウェア製品は、彼らの提供した道具がより本物っぽく先進性があるということをお手軽に確かめるためのツールとして残されただけだ。ソフトウェアシーケンサ製品は、「自然なグルーヴ」(を作り出す)アルゴリズムとしてPPQN*1を増加させるという、クオンタイズの最終試験を余裕かましてやるのに忙しかった。すべては個々のノートが、もしやろうとしても同時に鳴らないことを確実にするため(の試み)だ。
皮肉なことに、レトロな潮流が世界を一新するのに長くはかからず、今となっては、当時のなんちゃって人種(sudden people)はみんな没落し、TR-909の古臭さについて酷評を交換し合っている。「人間的感覚」を実現する努力は、固定のベロシティ、シンセ的なサウンド、反復の楽しみという完全な「ロボット的感覚」を作り出す目的の元ではもはや古臭くなった。人々はきちがいじみたダンスミュージックを作り、すべてのミュージシャンはフュージョンジャズと共に死ぬのだという理念を忘れ去らせるようなハードウェアシンセ製品が出現するには数年で済んだ。
エッジを削り出すという、コンピュータソフトウェア元来の姿に戻したのは、ほとんど劇的といえる決断だ。80年代初頭のローランドのTRシリーズや、ReasonのReDrumで着想を形にするのは、いつでもすばやいプログラミングを提供するものとして信頼できる昔ながらのドラムマシーンに賛辞を送るということだ。このDixcovering Reasonでは、ちょっとだけコツとトリックを扱うのでReDrumの長所を生かすためのヒントになるだろう。
注意:記事中にmp3があるのがループなので、mp3プレーヤーをループ/リピートモードにの設定しておくことをおすすめします。
 
番号でReDrum
多くの人はメインのドラムマシーンとしてはReDrumよりもNN-XTのファンだ。NN-XTは驚くべき柔軟性と16個の独立したアウトプットを備えているが、その傍らでReDrumにもまだいくつかの長所がある。
 1 すべてのパラメータへの迅速なアクセスと一覧性をもたらす、非常に直接的で直感的なデザイン
 2 MIDIキーボードやオンボードパターンコンピュータ*2と、その2つの組み合わせで演奏可能
 3 全パラメータがオートメーション可能(NN-XTではこの利点は制限されている)
 4 10チャンネルそれぞれにDual FXセンドを搭載
 5 10チャンネル全部にGate Inを搭載(他の機材はノートコントロールのためのひとつのGate Inしかない)
 6 10チャンネル全部にGate Outを搭載(Dr.REX以外ではReDrumがこの特徴を備えている唯一の機材)
 7 どのチャンネルも独立してノートをランダマイズ可能(Reasonでこのポリフォニック的なことができるのはReDrumのみ)
 8 手軽な「ライブブラウジング」。ReDrumをプレイした状態で、チャンネルに固有のNext/Previousサンプルボタンを使って、曲にとってベストなキックやスネアをすばやく探せる
 
つなげるReDrum
ReDrumのGate inやoutputsの存在によって、数多くのルーティングの可能性が開かれている。次の2つのシナリオを試してみよう:
1 サウンドレイヤリング(内部的)
ひとつのReDrumのチャンネルにあるGate Outを他のチャンネルのGate Inに接続することによって、ひとつのキーで2つのチャンネルを鳴らすことができる。もちろん2つ以上でもよいが、ベロシティコントロールの助けを借りて、ベロシティを切り替える機能をシミュレートするのもいいだろう。ベロシティのLeverlコントロールを「反対の」値に設定して、キーを強くたたくにしたがって一方の音が小さくなり、一方の音が大きくなるようにしよう。ここにReDrumのチャンネルをつなげてベロシティの切替をやってみたファイルがある:gate velo sw.rns|(mp3)
2 サウンドレイヤリング(外部的)
もちろんGate outputsをReDrum以外の機材につなげることもできる。シンセドラムでパターンをプログラミングするアプローチが好きか嫌いかはともかく、これをやってみて:シンセ(MalstromやSubtractor)を複数作って、好みのドラムパッチを読み込む。そしてラックの背面に回って、それぞれのチャンネルのGate Outをそれぞれのシンセの背面にあるSequenser Control Gateにつなげる。もちろん、なんでもいいんだけど”puppetmaster”をReDrumに読み込むのもよいだろう。こうすることでアナログ的なレイヤーサウンドにできる。例:gate ext.rns|(mp3)
(トラック上のミキサーのオートメーションを利用した、2つのレイヤーを扱う種類の例としては:サンプルだけ/シンセだけ/その両方/などがある)
 
静かなるミュート(Silence of the Mutes)
(著者注:ああ、”静かなるフラム(Silence of the Flams)”のほうがいいタイトルだけど、それじゃ意味がないのだ)
すべてのReDrumチャンネルにはMuteとSoloボタンがついている。そしてなんともすばらしいことに、MuteとSoloのon/off切替はMIDIキーボードのノートメッセージからできる。これはドラムをプログラミングする楽しい方法だ;すべてのチャンネルにすべてのノートを詰め込んで、MIDIキーボードでMuteを「演奏」すると、「通過させた(Muteしなかった)」音だけが聞こえる。このランダムと混沌の感じはAphex Twinや、Autechreや、Squarepusherのドラムトラックを連想させてクールだ。見てみて:crazy mutes.rns|(mp3)
例のトラックでは、すべてのトラックですべてのノートをプレイするパターンが3つあって(それぞれ1/4、1/8Tと1/16)、そのうちに少しだけフラムを使っている。これが音楽にスパイスを与えているのだ・・・!この爆発的に楽しい(bang-for-buck)方法は、お手軽で(あるにもかかわらず)まるでプログラミングに長年費やしたかのように聞こえる。実際はものの数分で何も考えずに作ったものだけれど。その結果たるや狂喜に値する。こういうのはふつう、注意深く計算してプログラミングするけどそれをやっていない。
(チャンネルのMuteは、MIDIキーボードのC2からE3のキーでコントロールできる)
 
おわりに
ReDrumはReasonにアプローチするにあたってシンプルさを身上とし、試してみる気を起こさせるものであり、またハードウェアとソフトウェアの両陣営のベストな融合が形になったものだ*3。ここで紹介したトリックのお手本は、いじくり回す冒険(tweaking adventures)のスタート地点でしかない。武器は整ったぞ、出撃だ!

*1:分解能のこと

*2:ReDrumをマウスで操作することを指していると思われる

*3:うまく訳せません