ドドイツ万華鏡―いま伝えたい小粋な言葉あそびの世界

ドドイツ万華鏡―いま伝えたい小粋な言葉あそびの世界

たぶん今のところ唯一現存している都々逸の選集。古いものから新しいものまであるが、都々逸が俳句と違ってよいところは、俗な言葉しか使われない点だ。
古いものでお気に入りはこんなん。

月にゃ照らされ雪には降られ せめて言葉の花なりと

風がもて来る二階の端唄 思いある身の胸の釘

主(ぬし)の広げた大風呂敷に いつかこの身は包まれる

「いつか」でこの句の深みが増している。奥ゆかしくてきれいだ。「きっと」で置き換えると台無しになるのがわかると思う。
現代風のはこんなん。

あけてびっくり梅干一つ そんなことはアルマイト

おいコラ出やがれ いざというとき姿が見えぬ責任者

サラリーマン川柳みたいだ。

白帆白波沖すら見えず 都心の浜にゆりかもめ

これはよいね。