ごはん
みそ汁
玉子焼き
 
いい本をふたつ読んだのだけど、図書館の返却期限が過ぎたので途中で返してしまった。

環境リスク学―不安の海の羅針盤

環境リスク学―不安の海の羅針盤

リスクという言葉は最近流行しているようで、ちょっとでも危ない添加物が使われたりすると「ちゃんとリスクを考えるべき」といって反対する人がいる。こんなこと言いたかないが、あれはアホだ。リスクを考えるというのは、リスクの有無を調べるということではなくて、リスクがどれくらいなのかを調べるということだ。言い古された言葉だけど、何にでもリスクはある。問題はそのリスクの大きさだ。
仮に添加物の使用に反対するのなら、そのリスクがどれくらいあって、どれくらい心配すべきか、そして添加物の使用によるベネフィットもちゃんと理解しなきゃいけない。図書館やホームページでいくらでも調べられるでしょ。不安がったり反対したりするパワーを、まずはそっちのほうへ向けるべきだ。それなりに勉強すれば、「リスクがある」という理由によるおろかな反対運動はなくなるだろう。「リスクがベネフィットを上回っている!」ということが明らかになったときにこそ、まともな反論が可能になるのだ。(おまけとして、調べていくにつれ多くの人が嫌っている官僚という人たちが、きわめて公平な立場からいろんな決断をしてくれているということがわかると思う。)
この本は一言で表現するなら、ゼロリスクを目指すのはやめましょうといっている本だ。同じような本はいくつも出てはいるけど、これはその中でもお気に入り。環境に限らず、ここに論じられたリスクの評価方法は分野をまたがって通用すると思う。さらに科学の限界についても触れられている。リスクを算出するに当たって、その限界をどのように対処していけばいいかも考えさせてくれます。
著者の回顧録みたいな形式だから、こういうのを嫌う人はいるかもしれない。でもこの人の仕事はことごとくすごいよ。私はまったく知らなかったけど、この人がいなかったら、世の中は今よりちょっとだけ悪かったかもしれないなあと思った。
 

確率的発想法~数学を日常に活かす

確率的発想法~数学を日常に活かす

半分くらいしか読んでいないけど、おもしろい本。
「ですます調」のやわらかい物腰でスルドイことを指摘してゆくのは爽快。当然、確率にまつわる話ばかりなんだけど、学校でやる確率の勉強とはぜんぜん違う。日常生活と確率はこんなに密接なのかと驚くよ。
上に挙げた「環境リスク学」への批判もちょっとだけアリで、これがまた的を射ていると思った、けど、半分しか読んでいないこともあって、全部理解しきれていない。買うべきか・・・
 
ごはん
みそ汁
めざし
 自転車は楽しいぞ、といっている本。
楽しいのである。自転車のよさはそれにつきる。環境にいいとか渋滞がなくなるとか、そういう大上段に構えた話はぜんぶ後回し。とにかく乗ってみろ、できればママチャリではない自転車に。この疋田氏も、いろいろ言ってはいるけれど結局はそれを言いたいのだと思う。少しずつではあるが、疋田氏に共感する人はけっこう増えつつある。でも、まだまだなのだ。
気の弱い私も、職場の人にも友人にもずっとそれを言い続けてきたが、なかなかわかってもらえない。以前の職場は江東区にあったのだけど、渋谷から自転車通勤していると言うと、決まって以下のような話の展開になる。
「渋谷から自転車で通ってるんですよ」
「まじ!どれくらいかかるの」
「50分くらいです。ドアトゥドアなら地下鉄より早いですよ」
「うそぉ。渋谷からここまでって何キロくらいあるの」
「12kmくらいじゃないですか」
「疲れない?」
「地下鉄のほうが疲れます」
「暑くない?」
「夏ですから暑いです」
「寒くない?」
「冬は寒いです」
「雨の日は?」
「行きが晴れなら自転車で来ます。帰りに降っていても、どうせスーツなんて作業着ですし、濡れても気にしないです」
「あーそれで交通費をせしめるってわけだ」
「そういうメリットもあります。あといい運動になりますよ」
「うわ、こんな自転車乗ってるの。いくらくらいするの」
「10万くらいです」
「高っ」
「バイクやクルマよりは安いですし、圧倒的に自転車のほうが楽しいです」(←この辺でかなり腹が立っている)
私としては一所懸命に自転車の素晴らしさを伝えているつもりなのに、たんに私が変人だというふうに理解されるのである。こういうことを繰り返しているうちに、わからない人にはいくら言っても「説得」することはできないんだなとわかった。はなから自転車は低俗な乗り物だと決めてかかってくるんだもの。かわいそうな人たちだ。まあ、ママチャリしか乗ったことがない人ならしょうがないと思う。
そういうわけで、私は自転車のよさとモータリゼーションの滑稽さを言い立てるのはあきらめた。その分、疋田氏にはがんばってもらいたいと思うのです。はっきり言って私は疋田智のファンだ。
 
そうそう、私は月曜から建設コンサルタントの会社でバイトをすることになったのだけど、配属されるのは「交通とまちづくりの政策」を扱う部署なのだ。こないだ面接に言ったとき、面接担当の人が自転車と歩行者の政策を扱う人だった。お!と期待していろいろ聞いているうちにわかったこと。その人は自転車をあまり活用しないそうである。私が面接をしに自転車でここまで来たというとえらく驚いていた。たかが40分程度で来れる距離なのに。
なんか変じゃないか。本当にこの人たちの考える「政策」で、歩行者はともかく自転車にやさしいまちづくりを促進できるのか疑問だ。というか心配だ。またえらく的外れなことをしてくれそうな気がする。
それに、自転車と歩行者の政策を扱っているというが、両者を扱うには自動車と分けて考えるべきではない。歩行者や自転車に快適な道路というのは、つまり自動車が少ない道路だと私は理解している。そうでないとしたら、他に何があるというのだろう。歩行者天国や分離信号とかでも自動車を抜きにして語れないし。歩道橋とか言い出したらさすがに怒るよ。
たかがバイトではあるが、自転車と歩行者のために働くのだ、と思うとちょっとだけやる気が出てくる。
 
ごはん
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ししゃも