heppoco2005-11-29

トースト
 
台東区仕事フェアという、無職の若者を対象とした面接会みたいなものに行ってきたのです。(リンク
台東区は職人の街。すだれやちょうちんなどの職人さんの実演なんかも見れるそうだし、おまけに職人と面接してあわよくば弟子入りできちゃうかもしれないので、けっこう期待してた。
会場に入ってパンフレットをもらった。面接実施企業の一覧というか、求人票を製本しただけのものを受け取ってしげしげと眺める。だけど募集しているのはごくふつうの「製造・販売・営業」などの企業ばかりらしい。
面接をいくつか受けるつもりで履歴書を5枚も手作りしたのに、なんかがっかりだなあ。まあせっかく来たのだからいちおう職人さんの実演でも見ることにした。「すだれ」を展示しているおじさんのところへ行く。うわあ、人と話すの久しぶりだなあ。私は未開人か。
「こ、こんにちは」
「こんにちは」
はじめは何を話せばいいかわからないので、とりあえず展示してあるすだれを手にとって、相手が話しかけてくることを願った。
「そのすだれ、何に使うかわかる?」
「んー、巻き寿司ですか」
「そう。これ、表と裏でデコボコが違うでしょ。こっちのデコボコを内側にして・・・」
「はあはあ」
せっかく解説してくれたのに上の空でぜんぜん覚えていない。申し訳ないが、すだれについてはあまり興味がなかった。いちおう勢いがついたのでさっそく核心に迫る質問をしてみた。
「このすだれはひとつおいくらなんですか」
「この大きいやつだと6,000円だね」
「そんなもんなんですか。これ作るの大変でしょう。一日いくつくらいできますか」
「ふたつくらいだね」
やはり職人も楽じゃないみたいです。
「あっ!でも全部手作りなわけじゃないよ。これなんかは機械でやってる。でないとわしら食っていけないものね」
「なるほど。やはり手作りと機械とでは品質が違いますか」
これに対する答えは忘れた。たしか違うのだったと思う。肝心なところだったのに、話をはぐらかされたのかもしれん。
「購入されるお客さんは個人の方が多いですか」
「まあ、ほとんど個人だね」
「お店とかに売ることはないですか」
「あるよ。うちで作ったすだれを売ってもらったりしてる」
まともにこんな商売をやっていたら苦しかろう。台東区から助成金みたいなものが出ているに違いない。
ひとつとてもかっこいいすだれがあった。木をうまーいこと切って「すだれ人文字」のような形にしてある。
「これかっこいいですねえ」
「ああ、それ。それなんかは作るのが大変なんだよ。でも買う人なんていないよ」
これはもう、商売であって商売でないようなものだ。やはり保護されているのか?でもそこまで聞いてみようという気は起こらなかった。
会場にいるのは20代後半の人が多かった。女性もいた。おっさんもいた。彼ら彼女らは会場にあつらえられた丸見えのブースで面接に臨んでいるのだった。他人の面接を、ああして客観的に眺められるのは貴重な経験かもしれない。声は聞こえないけど、どんな面接をしているのか想像すると滑稽だ。私はここで面接をすまいと決めた。でもなぜか、少しだけ、もう一度サラリーマンをやってみようかという気分になった。帰って転職サイトに登録しよう。
 
ごはん
みそ汁
 
でまあ、一社だけ応募した。こないだ転職サイトのおねいさんにふられてしまったので、新しいところに。
スキルとか入力した。するとなんだか「転職活動しちゃった」「自己PRしちゃった」的な気分になった。今自分が世間的になすべきことを世間の期待通りにやりおおせたような、そんな開放感が味わえたのでした。犬が「ふせ!」と言われたときに「ふせ」ができたときはきっとこんな気持ちなのだろう。それでごほうびをもらえたり頭をなでられたりするのでなくても。
自転車で埼玉まで行ってきた。
帰ってメールをチェックして見ると、私の応募した会社ではない情報技術の会社からスカウトのメールが届いていた。しかも2社からだ。経歴とか資格とかには、嘘も誇張も書いていなかったはずだが私レベルでもスカウトがくるのか。とはいえ「今すぐにでもお会いしたいです」とかいう出会い系メールかよと思うくらいに、コピペ感たっぷりのスカウトメールである。どうせこの2社は新規登録者に対してスカウトと称しながら見境なくメールを送っているのだろう。
私は悲観的なのではなく、懐疑的なのである。
 
ごはん
サバの文化干し
 
またスカウトのメールが来た。こういうもんなのだろうか。
人生4度めのモテ期到来。