なぜあいさつをしなければいけないか、についてはいろんな考え方があると思う。ある人に言わせると「相手に敵意をもっていないことを示すため」ということだった。この考え方ってちょっと変だよね。「あいさつをしなければいけない」を「相手に敵意をもっていないことを示さなければならない」に同じ意味で言いかえができるかどうと、できないからだ。敵意を持っている相手に敵意を示す自由くらいは私たちにも残されている。
あいさつをしなければいけない理由はないと私は思う。でも私はあいさつをする。あいさつをしないでいきなり話し出すと間が悪いからだし、何も話さなくてもあいさつだけでもを交わしたい人がいるからだ。人間の言葉にはほとんどすべて意味があるから、あいさつみたいにあんまり意味のない言葉はあったほうが何かと都合がいい。カラスは言葉をもっていないけど、鳴き交わして楽しそうじゃないか。人間もそれと同じようにあいさつを交わしたいもんなのだ。それを「なければならない」と言い切るのは間違っていると思う。