自転車通勤時に着替えている港にホームレスが住み着いていて、昨日まではテントが4つくらい並んでいた。
今朝そのテントはなくなっていて、後片付けをしている様子のおじさんが二人いた。「ここに寝泊りすることを禁ず」という看板は、もう何年も前からそこにあった。その看板の主張が、ついに今日通ったというわけだ。私がそこを通りかかったとき、ギロリとそのおじさんににらまれた。おじさんはこの港の管理人のような人なのだろう。私を見て、ホームレスが抵抗しにきやがった、と思ったように見えた。
私はそこに住んでいるホームレスの一人と話せる仲だ。別に好きでも嫌いでもなかった。ただ、ホームレスと話をするというちょっとだけ珍しい体験ができるという意味で、貴重な人ではあった。だからその管理人らしきおじさんに「ここに住んでいた人はどうなったのか」と聞きたかった。でもきっとそんなことは知らないだろうし、なんか怖そうな顔だったのでやめておいた。
私はどちらの味方でもないんだけど・・・ううーむ、書きたいことはいっぱいあるのに、考えがまとまらない。ただ、ホームレスでない人は、ホームレスに対してすごく異質な存在だと思っていないかという問いかけはしてよいと思う。いまふつうの生活をしている自分だって、いつああいうふうになるのかわからないのだ。だから私たちが感じるほどには異質ではない、と言いたい。それをみんな忘れているんじゃないか、と思う。そんなことはないのかもしれないけど、今日の結果だけしか知らない私にはそんなふうに思える。
「もし自分があの人だったら・・・」と考えることを、多くの人はしていないような気がする。自分がやむなくテント生活をするはめになったにも関わらず、そのテント生活の場からも追い出されてしまったら、そのあとどうすればいいのか?そう考えると、追い出すという行為は最後の手段としてとっておくように考えると思う。(もちろん、今日がその最後の手段の日だったのかもしれないが)
ホームレスのことばかりじゃない。家が火事で燃えている現場で、消防隊が消火活動をしているよこに、携帯電話のカメラで写真を撮っている人がいる。ワイドショーで誰々が離婚したというニュースにたかる人がいる。道いっぱいに広がってダラダラ歩く集団がいる。私はそういうのを見る中で、他人の立場で物事を考える人が意外と少ないらしいことを知った。