ちっさいクモ君 - part II
http://www.propellerheads.se/substance/discovering-reason/index.cfm?fuseaction=get_article&article=part11
手触りはゾクゾク(Spidey Senses Tingling)
はい、それで・・・どこまで行ったんだっけ?おおそうだ、Spider CV Merger & Splitterという他の、Reason飼育箱にいる八つ足の変なやつだね。さて、これはSpider Audioと双子のいたずらっ子だから、気をつけて扱わないとケーブルのクモの巣が張り巡らされて、入り込む余地がなくなってしまいかねない。あなたが意識して、できるだけ節約しようとしているようなら(たとえば、splitとmergeをどっちもひとつのユニットで使うとか)、できるだけ多くのSpider CVユニットに分散させるようにアドバイスしとこう。彼らはReasonの中ではもっともCPUフレンドリーなのだから。分散させれば、互いに入り組んでいるのでない限り、ケーブルを追うのもずいぶん楽になる。というわけで今回はそのやり方を紹介しよう。
 
マトリックス操り人形(Matrix Marionettes)
はじめに(そして明らかに楽しい)セットアップとして、積み上げ手法をやってみよう。単一のMatrixはCPUが扱える限り多くのシンセを演奏させて、Subtractor、Malstrom、NNサンプラーサウンドを使って多重音を作ることができる。もしsplit出力を使い切っても他のSpider CVをつなげればいいだけだ。例のファイルstakkabass.rnsでは、2つのMalstrom、ひとつのNN-XTと、1つのSubtractorを使って重厚なベースサウンドを構成した。これをするには4つのSpider CVが必要だ;Matrixは3つ出力(Note、Gate、Curve)を持っているから、分岐させて12本のケーブルを4つのシンセにつなげている。CVユニットを相互に接続してその4つ全部が動くようにしてやる。例のファイルを見てみて。ラックの背面に回ってクモ君を追いかけることができるかな?
 
Side-splitting Automation
ミキサーの自動化というのはふつうシーケンサトラックで注意深くやるものだ。それはとてもけっこうな事で、全パラメータを完全に、即座に操作できる。でもたまには自動化そのものを自動化したいと思うことはないだろうか。少なくともチャンネルレベルとパンに関しては、Spider CVのsplit機能によってそれができる。Spider CVのおかげで3チャンネルのレベルとパンを一気にコントロールできるし、相互に接続すれば理論上14チャンネルのコントロールが可能だ。全部を一気にコントロールしてもいいし、状況に応じてサブグループを作る方法でもいい。
でもこの図のような(図参照)ばかなまねをしてはいけない。今んところは3チャンネル志向で行こう。初めの例--splittermix.rns--でやろうとしているのは、14:2ミキサーと3つのDr.REXの構築だ。Spider CVを作って、split出力のAとBからlevelとpanへのルーティングを、ミキサーのアクティブなチャンネルそれぞれにやる。そして、・・・Matrixを作ろうか?いいや、そうはしない。その代わりにMalstromを、そのサウンドの能力ではなくモジュレーションの特徴を生かすために使ってみよう。大量の変てこカーブを備えた、2つの優れたLFO形式のモジュレーションソースがある。Mod Aをレベルに、パンとレベルを組み合わせた自動化としてMod Bを。そしてMalstrom自体は、自身のトラックで自動化されているから、モジュレーションカーブの形式やレートを曲中で変えることができる。
例のファイルでプレイボタンを押すと、筆者のでたらめな*1セッティングを聞ける。そして覚えておいてほしいのは、ここで自動化されてるのはMalstromのトラックだけだということ。もし標準的なLFO波形やMatrixが単調すぎて*2他のを探しているのなら、Malstromはモジュレーションソースとしてかなりおすすめだ。
 
隠れマージ(Submerged)
もうひとつの事例として、マージ機能はReDrumでもとても有用なだ。もちろん、すでにCVをリズムモジュレーションとして使う方法は既にいくつか知っている。Dr.REXのループスライスのセンドゲート信号を使うとか、組み込みのLFOMIDIに同期することもできるし、LFOを他の機器から”借りて”モジュレーションにできるし、Matrixのゲートやカーブのデータも使える。とまあここまではいいだろう。でもReDrumはどうしようか?というのは、ReDrumは健気にチャンネル毎にゲート出力を備えているから、外部のモジュレート対象にドラムパターンの全体を影響させることができない。影響させることができるのは、ひとつのドラムチャンネルだけだ。ここでSpider CVのマージ機能が光る;4つのReDrumチャンネルのゲート出力をひとつにマージできるのだ。そしてもちろんSpider CVを複数化して、ReDrumの10チャンネルゲート信号をマージすることだってできる。というわけでこれをやってみて:
Submerged.rns--例のファイルは、ReDrumのゲート信号をマージされた2グループに分けるというアイデアだ。そしてそれぞれ別の楽器をモジューレートさせている。かくしてドラムとベースとパッド的なサウンドができた。
さて、ベースとパッドに全く同じモジュレーションをかけているせいでサウンドが若干ぼってりしている。そこでこれをやってみよう:バスドラムとスネアドラムのゲート信号をマージして、ベースシンセのフィルターにルーティングする。あと付加的なモジュレーションソースとして、2つのハイハットチャンネルをマージすることで、パッドサウンド用のモジュレーションパターンができる。ベースとパッドはどちらもECF-42フィルターユニットを通しているが、これらをReDrumがモジュレートするのだ。バスドラムかスネアが鳴るたびにベースフィルターが再トリガーされて、かっちりしたいいグルーヴを根底にもたらしてくれる。そして高級パーカッション(マージしたハイハット)で高級シンセをコントロールするような、均整を与えてくれる。
この一風変わった例ではReDrumはふつうのサウンドバイスとしても働いているけど、これはもちろんそのためにやったことじゃない。無音の単なる”パペットマスター”としても活躍できるのだ。
 
おわりに
同じものとは思えない。新しいサイトをお楽しみくだされ。そしてメリークリスマス!*3

*1:そんなことはない。めちゃクールでびっくりした

*2:too aliased:辞書にも載ってないくさい用例。したがって私にはよくわからないんだが、よく画像関連でアンチエイリアシングと言ってピクセルのギザギザをぼかす処理があるが、それの反対でaliasにはギザギザというニュアンスがあるのだろう。でもLFOは波型もあるわけなので、「ギザギザな」ではなく「単調な」と訳すのがいいと考えた

*3:以前のプロペラヘッドのサイトは、今の日本のプロペラヘッドみたいなデザインだった。それが今の形にリニューアルされた時期に書かれた記事ってことなんだろう