本屋で立ち読みしていると、隣で立ち読みしているおっさんの口臭がひどく気になることがある。どうしたらあんなにおいになるのかと思う。
きっとおっさん本人は自分のにおいに気づいていないのだ。「俺は無臭だ」って思っているのだ。でも、私だって自分は無臭だと思っている。自分のにおいはどんなにおいなのかわからないからだ。
人間も動物である以上、においがないなんてことはありえない。そう考えたとき、自分のにおいはくさくないかと心配になることがある。あのおっさんのにおいを感じられるということは、少なくとも私はあのおっさんとは違う種類のにおいを発していることだけはわかる。問題はその程度である。努力して自覚しようとしても、わからない。
だから人に聞くしかない。「僕はくさくないだろうか」と。ただもし本当にくさいと思われていても、むしろその程度がひどいほど、それをストレートに言ってくれる可能性は低くなる。私にはお互いの口臭を指摘し合える朋友が必要なのだ。