NN-XTの水準へ(Take it to the NN-XT level)
http://www.propellerheads.se/substance/discovering-reason/index.cfm?fuseaction=get_article&article=part9
生産性(Productivity)
今回は生産性について。NN-XTのすばやい加工(warp speed)、作業の能率性、パワーの増強(boosting the power)についてお勉強しよう。事前にちょっとでもいじったことがあるなら、これがより深い理解へのいざないとなるだろう。
NN-XTは機能性においても、応用性においても、そしてReasonの働き物としても、親友のNN19よりももっと進化している。プロペラヘッドがReasonのフラッグシップサンプラーの開発に着手したとき、彼らは一度限りの挑戦の機会を得た。彼らの主な不満は、ハードウェアサンプラーが即効性や直感的なインターフェースを欠いているというものだった。融通のきかないちっぽけなLCDディスプレイ、扱いにくいメニューシステム、キーパッドによるパラメータ編集、qwertyキーボード*1の欠如(サンプルネームを入力するのに困難を強いられるということ。アーケードゲームでハイスコアのイニシャルを入れるようなもんだ)、ほとんどのハードウェアサンプラーはユーザインターフェース部門においてボトルネックシンドロームに苦しんでいた。プログラムするために永遠の時間がかかるという。
NN-XTはその対極の存在となった。即パラメータにアクセスするための豊富なロータリーダイヤル、でっかいディスプレイとピッチ検出やオートマッピングのような超速いマクロ機能。NN-XTがあればかつては週末を返上していた時間をコーヒーブレイクに変えてくれるだろう。じゃ、パイをスライスしようか・・・
 
複数性(Multiplicity)
ご存知の通り、Reasonのシーケンサトラックは単一のデバイスしかコントロールできない。でもことNN-XTとなると、もはや制限がない。パッチブラウザで複数のパッチをNN-XTに読み込めないとしても、パッチの中に複数を含めることはできるのだ。そのトリックのために”寄せ集め(scratch)”という手法を使ってNN-XTにパッチを読み込む。すると、パッチはひとつずつプライマリのNN-XTにコピーされる。このやり方によって、複数の楽器をふくめたコンボを構築することができる。やり方はこうだ。
 ・NN-XTをふたつ作る。
 ・はじめのNN-XTにパッチを読み込む。
 ・ディスプレイの左端にあるグループコラム(”G”というラベル)を右クリックし、「ゾーンをコピー」を選択する。パッチが複数のグループを形成しているなら、すべて反転させて「選択されたゾーンをグループ化」を選択する。
 ・2番目の(空っぽの)NN-XTのディスプレイを右クリックして「ゾーンを貼り付け」を選択する。
できた。グループ(ポリフォニーポルタメント)とゾーン(エンベロープ、フィルター、出力など)に存在するすべてのパラメータの準備は整った。要するにパッチが複製されたということ。グローバルコントロールとメインボリューム以外は。
じゃあ”コンボ”パッチへ追加したいパッチごとに同じ手順を繰返そう。新しく追加するたびに、自動的に新しいグループとして作成される。”G”コラムをクリックしたらグループ内のすべてのゾーンを簡単に選択できる。そして、出力をすべての選択したゾーンに適用するというふうにパラメータを変えるのは、パッチごとにセパレートのペア出力をルーティングするすばやくて効率的なやり方だ。ハードウェアシンセで”コンボ”パッチを作るときに、個別のFX設定を忘れてしまうのはよくあることだが、NN-XTではそうはならない。各グループごとにセパレート出力やFXユニットのいくつでもルーティングできるからだ。
選択に関するほかの自動化方法はまだある。ゾーンごとにフィルターのオン/オフを切り替えられるのだ。つまりフィルター用のグローバルコントロールは、フィルターが有効になっているゾーンにしか影響しない。たとえば、ピアノ+ストリングスのコンボを作ってピアノのフィルターをオフにしたら、グローバルFreqノブを自動化してもストリングスにしか影響しない。もちろん違うフィルターを違うグループに試すこともできる。たとえば、ハイパスをはじめに、次にバンドパス、次にローパスというふうに。さらにグローバルフリーケンシーをさらっとかけたら(sweeping)おもしろい結果になるだろう。
ここにReason Song file形式で、2つのベースパッチにちょっとおまけサンプルを追加したNN-XTの組み合わせがある:quadrabass.rns。
 
分離性(Separability)
もし知らないのならこれは朗報だ:NN-XT(NN19でも)は、REXやREX2ファイルをパッチとして読み込める。まさにDr.REXみたいにスライスがキーボードの幅いっぱいに、キー単位にひとつずつ、横たわっているのだ。でもその可能性は、NN-XTが提供する追加パラメータと機能のおかげでよりすばらしくなっている:スライス単位のフィルター、フルADSRエンベロープ、個別出力などほかにも多数。スライスのパラメータをDr.REXで編集するのは、スライスがたくさんあるとおっとろしいもんだが、NN-XTならスライスをグループに分割してくれるので大幅な時間の節約ができる。NN-XTはREX発電所*2
 ・NN-XTを作る。browse patchボタンをクリックし、REXドラムループを読み込む。
 ・”パートナー”のDr.REXを作り、NN-XTに読み込んだのと同じREXファイルを読み込む。
 ・Dr.REXのTo Trackボタンを押す。
 ・Dr.REXのトラックからNN-XTのトラックにそのパートをドラッグする。(Dr.REXは削除してもいいし、後で必要になるときのために残しておいてもいい)
ここからがお楽しみ。はじめにバスドラムとスネアのスライスを”残り”のスライスから独立させなきゃいけない。そうするには、[Alt]キーを押したまま左のサンプル名をクリックして試聴する。バスドラムのスライスを見つけるたびに、[Shift]か[Ctrl]を押したままサンプル名をクリックする。これをリストをスクロールしながら続けていって、やり終えたらすべてのバスドラムスライスが選択状態になっているはずだ。(図参照)
メニューバーに行って、editから「選択されたゾーンをグループ化」を選択する。(図参照)では上記の手順をスネアドラムのスライスにもやろう。じゃーん。バスドラム、スネアドラム、そして”その他”の3つのグループのできあがり。これで残りの作業がやりやすくなるぞ。
左のサンプル名リストにグループコラムがある。このコラムは3つの縦棒になっていて、それぞれをクリックすることでスネアやバスドラムや”その他”を選択し、編集できる。
スネアのグループをクリックしよう。もうスネアスライスをセパレート出力にルーティングするのも簡単にできる。Outダイヤルを5-6にまわそう。バスドラムのグループを選択しよう。Outダイヤルを3-4にまわそう。これでセパレートのステレオ出力のペアができ、個別の音量、パン、エフェクト、EQ、ミュートなどを独立的に(externally)扱うことができる。グループを一括で編集することもできる。ピッチ変更、音量、エンベロープ、フィルター、モジュレーション、LFOなど、これらはグループ内のすべてのゾーンに有効だ。(図参照)
ここに2つの例がある。スライスを3つのグループに分割して個別のFXや設定をしたものだ(Dr.REXとNN-XTをAB切替して違いをわかりやすくしている):nnxt_rex1.rns|nnxt_rex2.rns
 
関連性(Relativity)
NN-XTは自分のReFillを扱うためのスタートポイントとしても優れている。ご存知の通り、ReFillは読み込み専用の形式だ。そしてひとたび自分のサウンドライブラリーが、1ダースの半分のReFillに達すると、いくつかはAkaiのROM、山盛りのサウンドフォント、少しの自家製REXファイルやパッチに変換され、大量のWAVサンプルが・・・うっひゃー。ライブラリの中身を見渡せるよう管理することがチャレンジの様相を呈してくる。”あのすばらしいドラムキットはまたどこにいったんだ・・・?”
これはよく見落としがちなのだけど、サンプルはReFillの中に閉じ込められていても、パッチはそうではないのだ。たとえパッチがReFillのサンプルを使っていたとしても。このことはReFillから離れてNN-XT/ReDrum/NN19の完全に新しい”自分だけのお気に入り”のパッチライブラリを構築しうるということだ。現状のサンプルソースの参照は、Reasonが提供するインデックスの順序に従うしかない。Malstrom、Subtractor、RV7000、Scream4は、ReFillに少しも依存していないから、まるごと再保存や再構築ができる。*3
ひとつのやり方として以下:
 ・Reasonを起動する前に新しいフォルダを作って、意味のある名前をつける。たとえば”Reeason Library”や”Reason Patches”とか。
 ・何個かサブフォルダを作り、自分の好きなようにまとめ上げる(organize)。ジャンル、BPM*4、デバイス、ファイルタイプ、楽器タイプなんかで整理するといいかもしれないが、そこはあなた次第。もし整理できなくても心配無用。”お気に入りのライブラリ”はいくつでも好きなだけ作ることができる。*5
 ・ここで自分のすべてのReFill、サンプル、REXファイル、サウンドフォント、他の未加工の素材(raw materials)を一箇所に集めたいと考えるかもしれない。(だけど)この考え方は、それらの置き場所をサウンドライブラリに再びアクセスするための優先的な場所として扱う必要はない、というものだ。
 ・じゃあReasonを起動して、デバイスごとに自分のReFillとサウンドライブラリの作業にとりかかろう。”入れ物(keeper)”につまずいたときはいつでも、パッチを自分のパッチライブラリ内の類似のサブディレクトリに保存しよう。もし案内(navigating)で悩みたくないのなら、それもいいだろう。すべてのパッチをデスクトップとか他の寄せ集めの場所(scratch location)に保存したらいい。あとでいつでも整理できるし(パッチが参照しているReFillを動かしさえしなければ、パッチを動かしても問題ない)。
この手順は数日徹夜を伴うかもしれない。すべては自分のライブラリの理解度しだいだ。でもやっておいてよかったと後で思うだろう。ちょっと考えてみて欲しい。(これをしなかったら)ReFillをチェックするために、とにかくひとつずつ読み込まなければならないでしょ?そんなことをしている間は「パッチを保存」をする習慣を続けなきゃいけないのだ。案外すぐに、お気に入りのパッチの拡張ライブラリが出来上がる。それもちょうど自分の望みどおりの構成で。Reasonの環境の中で独自に4つの主要サウンド置き場を作ろう*6。そしたら完了だ。
もちろんREXはここには含めることのできない形式であることに注意しよう。Dr.REXはそのようなパッチ形式をもっていないからだ。だけどはじめのほうで示したとおり、REX/RX2はNN19やNN-XTに読み込むことができるので、.smpや.sxtファイルで保存すればいい。だからこれはオプションだ。
コツ:”家”のない雑多なサンプルのコレクションのために”試聴”用のパッチを作りたいと考えるかもしれない。たとえば、Reason's Factory Sound Bankの中に”Other Samples”や”xclusive drums”みたいな分類のフォルダが見られるだろう。こういったホームレスのサンプルは、必要なパッチをブラウズする習慣の中では忘れられがちなものだ。これらを扱うためのひとつの方法は、それらをいっしょくたにNN-XTに読み込んで(そりゃもちろん、扱える数であればの話)、キーごとにひとつのサンプルをマッピングした形で新しいパッチとして保存することだ。バスドラムや、特殊効果のサンプルなんかが欲しいときはいつでも、NN-XTの”バスドラム”や”FX”パッチを読み込むだけでいい。するとあら不思議:特殊カテゴリーのサンプルをぜんぶ手元に取り出せて、作業中の曲においても即座にひとつずつ試し聴きができる。これはブラウザウィンドウで手早くサンプルを見つけるという、たいへん効率的なやり方だ。*7
おすすめ手順:
NN-XTのサンプルブラウザボタンをクリックし、”試聴”パッチに加えたいすべてのサンプルを選択する。この図はFactory Soundbank内の全バスドラムのサンプルだ。(図参照)
すべてのゾーンを選択した状態で、キースパンがひとつのキーになるよう変更する。(図参照)
キーごとにひとつになるようゾーンを配置する。128個まで可能だ(手持ちのキーボードでその範囲を演奏できるなら)。(図参照)
ここではじめのほうで説明した”寄せ集め”の手法を使える。一方のNN-XTをサンプルの読み込み用に使い、もう一方を行き先とするやつだ。膨大なバスドラムコレクションのパッチを読み込み、MIDI経由でゾーンを選択できる。サンプルをひとつずつ演奏して、どんな感じかを確認していこう。はまるものに出くわしたときはすでに、そのゾーンが自動的に反転しているので、単に「ゾーンをコピー」を選択してもう一方のNN-XTに貼付けたらいい。バスドラムは決まった、よっしゃ、じゃあスネアドラムのコレクションを寄せ集めNN-XTに読み込んで・・・というふうに。ドラムキットを構築するための効率的で、実際的な方法だ。
ポリフォニーパラメータはグループから独立していることにも注目。”Channel 8&9 exclusive”というReDrumの機能をエミュレートする必要があるなら、ハイハットのサンプルを別のグループに入れて、ポリフォニーを1にセットすればいい。
 
最後に
Reasonデバイスの中に、習得するために学ばなければならないものがあるとすれば、それはNN-XTだ。地表の底へと掘り進めるこれらは(NN-XTをマルチオシレータアナログシンセに変えた新しいProton ReFillの製作者みたいに)will wonder what the heck they were waiting for!*8

*1:ふつうの文字を打つキーボードの事

*2:The NN-XT is a REX powerhouse.

*3:この段落・・・意味はわかるのだけど、すごく訳しにくい。英語を読んだほうがわかりやすいかも

*4:Beat Per Minute

*5:確かにそうだが・・・そもそもフォルダ単位でしか整理できないこと自体問題なのだ。ACDseeという写真管理ソフトみたいなオーガナイズ機能がほしい。パソコンのフォルダという概念はもう古いのでそろそろ刷新してほしいです

*6:「4つ」の意味は不明

*7:This is much more efficient that scrambling through samples in the browser window.:thatはthanの間違いではないかなあ。文法的にもそうだし、文脈的にもブラウザウィンドウで試し聞きするよりキーボードで試奏する方が早いという話なのだから

*8:最後はさっぱりわかりませんでした。何かの決まり文句かなあ?Those who dig beneath the surface (like the creators of the new Proton ReFill which turns the NN-XT into a multi-oscillator analog synth) will wonder what the heck they were waiting for!