生き物の進化って考えれば考えるほど驚くことばかりだ。進化はある特性が何らかの原因で発生して、それが生存に有利なら同じ特性をもった種が繁栄するというふうに起こるものだ。そしてある特性は「必要に応じて」発生するのではなく、「偶然」発生する。それがたまたま生存に有利であれば、結果として生き残れるだけである。
ということは今は絶滅してしまった生き物の中には、何の役にも立たない特性を持ったものも無数に存在したわけだ(もちろん現存する生き物にも役に立たない部分はたくさんあるが)。人間は暑いと汗をかくが、これはいろんな理由で生存に有利だったからそうなった。進化の過程では暑いと皮膚から音が出る人間が存在したかもしれない。びっくりすると紫色に変色するというのもありえただろう。
人間はすでにどんな人だって結婚して子孫を残せるような文明を作ってしまったから、現存する私たちが持っている特性の多くは、生存に決定的な影響を与えない。うれしいときに笑い、悲しいときに泣くという生存に役立たない能力を持った人間はいなくなるかもしれない。・・・でも、どんな人間だって子孫を残せるという同じ理由で、もう劇的な進化(退化も)はありえないと考えた方が自然かもしれない。私たちの子孫は、いつまでも無駄に笑い、泣き続けると思うと、なんだか妙な気がしてくる。