自転車でさえ、乗っている人間が二酸化炭素を吐き出すからエコではないと言う人がいる。これはある意味で正しいと思う。でもその人が意図している意味では正しくない。
自転車に乗っている人間だけが二酸化炭素を吐き出しているわけじゃなく、寝ている人間だって二酸化炭素を吐き出しているからだ。というのがまずある。
だからこれは程度問題と思われるかもしれない。自転車に乗っている人の方が寝ている人よりも多くの二酸化炭素を出しているから、自転車に乗っている人の方が非エコであると。でも、それも違うのだ。程度問題ですらない。
なぜなら人間が吐き出す二酸化炭素は、炭素を固定化した植物(とそれを食べている動物)から摂取した炭素と空気中の酸素がくっついたただけのものだからだ。その二酸化炭素をまた植物が固定化して・・・というふうに回っている限り、多少の上下はありえるが、長期的には大気中の二酸化炭素の量はまったく変わらないはずだ。人間は炭素生成マシーンじゃないのだから、食べた量よりも多くの炭素を排出することは原理的にありえない(あたりまえだよなー。でもまちがっていたらすんません)。つまり人間が植物(とそれを食べている動物)を食べて生き続けているだけなら、寝ていようと自転車に乗っていようと関係ないと言いたい。
化石燃料を燃やす場合はそういうわけにはいかない。化石燃料ができるまでには気が遠くなるほど長い時間がかかる。その長い時間をかけて固定化された炭素が、短期間で燃やされて大気中の二酸化炭素が増えてしまうのだ。その増え方は、化石燃料が炭素を固定化するスピードや植物が吸収できるスピードをはるかに上回っている。そこが問題なのだ。二酸化炭素を出すこと自体は、環境にとって何も悪いことではない。その排出されるスピードが大事なのだ。