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クリームパン
ちょっと前の話になるのだけど、ベランダにカラスが来るようになった。ひょっこりやってきて、何をするでもなくキョロキョロしていた。
私はカラスが好きだから、そーっ窓を開けて、「友達になってください」とでも申し出たかったのだが、目が合ったとたんに飛び去ってしまった。おお友よ。
また来るといいな、と思ってエアコンの室外機の上に、きれてるチーズを数かけらおいておいた。が、その日、彼はもう来なかった。
そこへ今日。自転車で出かけている間に、きれてるチーズがなくなっていた。彼はまたここへきたのだ。そういえば、こないだ彼がきたのも土曜だった気がする。なぜ土曜かというと、もえるごみの日で生ゴミが町中にたくさんあるから、カラスもそれにあわせて活発になるんだろう。
私のベランダならいつでも食べ物があるということを覚えさせたいと思い、また食べ物をおいてみた。きれてるチーズは単価が高いので、うす揚げの細かいやつにした(カラスは脂っこいものが好き)。すると、ドアを閉めたとたんに彼がやってきた。彼はどこからか私のベランダを見ていたわけだ。また窓を開けたのだが、やっぱり飛んでいってしまった。でも顔は覚えたぞ。カラスの顔を近くでまじまじと見たことがあるか。カモなんかよりもかわいくて、タカのように精悍だった。
それはともかく、またうす揚げを置いているわけだが、もう来なかった。「怪しいやつがいるから安心して食べられない」と学習してしまっただろうか。どうすれば友達になれるのだろう。いや、友達になれなくてもいいからどうか私を怖がらないで。今日は私が食べ物をおいているところを見ていたはずだから、ひょっとしたらいいやつかも、と思ってくれていることを願う。
燃えるゴミの日は土曜と水曜である。水曜になったら、またくるかなあ。
ごはん
みそ汁
玉子焼き
ひじきと油揚げの煮付け
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患者から『偽りの記憶』を誘導尋問で導き出し、「あなたの精神疾患の原因は幼児期に父親からうけた性的虐待にあるのれす!」などとクレイジーな診断を下し、罪のない父親を相手取って数千ものトンデモ裁判引き起こしたという、悪名高きハーマン女帝の手法がちょっとしつこいくらいに説明されている。そんなハーマンの手法が90年代前半のアメリカではえらく支持されたそうで、当時は批判する人のほうが少数派だったというからびっくりだ。
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著者が批判するのはハーマンだけではなく、フロイトなど精神分析家全般である。精神分析ってやつは疾病の原因を無理やり引っ張り出して、それを患者に克服させることを目的としている。「幼児期のトラウマを克服しない限り治らないよ」というやつがそれだ。著者はこれの何がダメかと言っているかというと、ほんとはたくさんあるはずの治療の手段がトラウマに限定されてしまうからでもあるし、あとクライアントが頼んでもいない問題(父親がロリコンだという根拠のない疑惑)にまでメスが入ってしまうからでもある。
著者がひんぱんに主張しているのは「解決方法は、その原因とは必ずしも関係がない」ということだ。たとえば、人前で上手く話せないというクライアントに対して「それは幼児期のトラウマが・・・」などと言っても的外れで有害なだけだ。仮にトラウマが原因であったとしても、それを克服するためにワケワカラン夢日記を書く努力をするよりは、人前で上手く話せるように工夫なり努力なりしたほうが確実である。そもそも「人前で上手く話せないこと」が問題なんだから。
それに、人は幼児期のトラウマをずっと引きずるくらいに弱くなんかないはずなのだ。「おわりに」で著者はこんなことを言っているのはちょっと感動した。
もしかしたら、この本を読んでいるあなたは、人前でひどく上がってしまうことに悩んでいるのかもしれない。満員電車でのパニック発作に苦しんでいる人なのかもしれない。異性と良い関係を築く自信がまったく持てずに落ち込んでいるのかもしれない。では、あなたが自分に欠けているものを一つ数え上げるたびに、「それをカバーするように伸びた私のほかの能力は何だろうか?」と探して見てはどうだろうか?精神分析のパズル解きに時間を費やすよりも、そのほうがずっと有益なことではないだろうか?
注意する必要があるのは、著者はPTSDというくくりが無用なものだと言っているわけではないということ。ほんとにやばいPTSDの人はいる。ただPTSDがブームになって、うつ病や統合失調症などのもっとやばい精神疾患がPTSDと誤診されてしまうことの危険性をこの本で訴えているわけだ。
せっかくいい本だったのに、感想文がまとまらんです。
ごはん
納豆
みそ汁