heppoco2005-08-22

勉強しなきゃならないことがたくさんある中で、本を読む時間がない。
それでも私は読み続ける。
 
最近気づいたのだ。いや、ずっと前から気づいているけれど、確証がもてなかった。世の中の、ありとあらゆる物事は、どれも少しずつ「興味深さ」を内包しているということ。文化にも、政治にも、社会にも、統計にも、建築にも、音楽にも、スポーツにも、生物にも、物理にも、それぞれに事情というか限界みたいなものがあって、そこにえもいわれぬ趣が感じられるのだ。それは、私にとって、おもしろいことなのだ。
最近の読書趣味がいろんな分野をまたがっているのはそういう理由がある。
 
で、今日は2冊読んだ。

行儀よくしろ。 (ちくま新書)

行儀よくしろ。 (ちくま新書)

教育に関して著者のうんちくを並べた内容。同じ事を何回も繰り返して述べていたりして、ちょっと退屈なのである。新書にその手のものが多いのは、ページを稼ぐためなのだろうか。言いたい事はそんなに多くないけれど、これだけは言っておきたい!って意見がある人は新書を出して、100ページくらいあればいいきれるんだけど、そのページ数じゃ新書にできないなあ、という場合はこうしてページ稼ぎをするのかもしれない。イラクの話は特に退屈だったよ。一方、学力低下は本当か?みたいな話は、私の漠然とした思いに裏づけを与えられたようでうれしかった。
特に目新しい見解があるわけではないが、陳腐というわけではない。一言でいうと「わかってるおっさん」という印象を受けた。私が知る限り、こういうおっさんはとても少ないのである。
 
もういっちょ。
時間のなかの建築

時間のなかの建築

「風化」がテーマの建築本。モダン建築は新しいもの、きれいなものをよしとする方向に行っているけれど、どうあがいたって風化するときはやってくる。だから風化を度外視するんじゃなくて、風化と親和的な建築をやりましょうよ、という内容。
確かに、奈良の春日大社なんかは、今でこそ鮮やかな朱色に塗られているから味気ないけれど、10年ほど前(?)までは朱色の塗装なんてぜんぜんなくて、茶色に風化した木がなんとも荘厳な風合いをかもしていたのだ。
広島の厳島神社が台風でバラバラになった後、改修されて朱色のペカペカになったのを見てガッカリしたのは私だけではないはず。そういう人にとってこの本はうなずける内容ではないかと。
でも、知らない人とか知らない建物ばっかり紹介されているから、内容が頭に入ってきにくい。