カラス なぜ遊ぶ (集英社新書)

カラス なぜ遊ぶ (集英社新書)

昨日、収束に向かいつつあると触れたにもかかわらず、また本を買った。
 
カラスが好きだ。犬の次くらいに好きかも。人間を利用しながら生きている様子。黒光りする身体。高度な運動能力を窺わせる挙動。高等な知能。意外な品性。茶目っ気。その裏にある奥ゆかしさ。
 
この本はまだ前半しか読んでいないが、なかなかおもしろい。生物学者独特の懐の広さが読んでいて心地よい。
「賢さ」と「能力」を使い分けるあたり、信頼に値する観点だと思った。人間は、例えば反省できる「賢さ」が具わっているが、カラスのように飛翔する「能力」は具わっていない。だから、どれくらい「賢い」かで動物の優劣を考えるのは人間本位の観点であって、私は好きじゃないのだ。
 
カラスに興味がない人、嫌いな人にとってはまったくつまらない本だと思う。解剖学に興味がある人にとっては、脳化指数や脳内比などの話は参考になるのかも?
 
カラスと人間の平和的共生を探っている節もあるが、諸事情によりカラスが害鳥として扱われている現状では、ちょっと理想を掲げすぎかなと思うところがある。