花粉症というのはつい10年くらい前まではあまり知られていなかったらしい。たしか鼻炎と呼ばれていたのではなかったか。
たしか鬼気迫るバイオリンのBGMでスーツ姿のサラリーマンやOLらがムズムズしているCMが流れていた。そう、目のかゆみにはアルガードというやつだった。そのCMでは花粉症という言葉は使われておらず、鼻炎がなんとかと言っていたのを覚えている。ズームイン朝の時間帯によく放映されていた。
 
10年以上前から花粉症であった人は、人に説明するたびに歯がゆい思いをしたことだろう。スギ花粉がどうのこうのと人に説明しても、きっと半信半疑な反応だったに違いない。花粉がつらくて、と言っても、要するに鼻炎だろ?と。
 
一番つらい病気は、病気と知られていない病気だろうなとつくづく思う。
花粉症に限らず、うつ病が知られていなかった時代のうつ患者は、ただのサボり野郎と思われていたらしい。まったくひどい。
 
ところで私はスギ花粉ではなくてイネだかの花粉のアレルギーなのだが、その症状のつらさとは別に、認知度の低い花粉であることにつらさを感じる。
テレビの天気予報なんかでも「スギ花粉のコーナー」なるものまでできているせいで、花粉症といえばスギ花粉、みたいなイメージが大衆に植え付けられてしまっているようだ。特に花粉症でない諸君。
 
5月ごろだかになって、「ようやく花粉の季節が終わりましたね」などと言う。私は5月ごろから症状がひどくなるというのに、寂しいよ。