世の中に音楽があふれすぎていて、自分のオーディオで音楽を聴くことがほとんどなくなった。たいていどんな店に入っても音楽が流れている。なぜあんなどうでもいい音楽をかけっぱなしにするのだろう。にぎやかな店を演出するためというよりは、店員が退屈だからかもしれない。でも節電で表の看板の電灯を消すくらいなら、音楽も消せばいいのに。
道行く人もかなりの確率でイヤフォンをつけている。
家に帰って何も音がしないと寂しいという人って多いけど、それは思い込みじゃないだろうか。私の家は静かだ。でも雨の音が聞こえる。雨にぬれた靴を乾かす扇風機の音が聞こえる。飛行機が飛んできた。上の階の足音が聞こえる。風の音が聞こえる。鳥のさえずりが聞こえる。蛾が窓にあたる音が聞こえる。まあちょっとキザかも知れないけど、たまには静かにして小さな音に耳を傾けるのも、案外退屈しないもんだよ。