被災地の経済を回復させるために、その土地の商品を買おうという考え方がある。賛成ではあるんだけど、それって本当にその土地の経済の回復につながるんだろうか。小売業はうれしいかもしれないが、それ以外はあまり効果ない気もする。まったく効果ないわけじゃないけど、長いプロセスを経てようやくそれ以外のところが恩恵を受けられる程度じゃなかろうか。
極端な話ではあるけど石垣島のお客に岩手県のお米を通信販売して儲かったお金は、岩手県から石垣島の唐辛子を通販で購入する形で使われるだけかもしれないからだ。つまりその土地の誰かの金回りが良くなったからといって、必ずしもその土地全体に金がいきわたるわけではない。もちろん、まったく行き渡らないわけではないが。
だから、1万円を寄付しようと考えている人がいたとして、同じ1万円なら被災地の商品を買ってあげようと考えるのは、たぶん間違っている。それなら1万円を寄付するほうが、多くの人に、少しずつ行き渡るためになる。しかし、たとえばいつもは買っている鹿児島県産の焼酎を宮城県産の焼酎に切り替えてみるという考え方は正しいと思う。
私の結論としては、自分が被災地のために出せるお金がいくらなのかをはっきりさせることが大事だ。そのお金は、全額寄付にまわすべきである。なおかつそれだけで終わらせるんじゃなくて、普段から購入しているものをできるだけ被災地産に切り替えればいいのだ。ハワイ旅行に行く計画を、東北旅行に切り替えるのもいいだろう。旅行がいちばんいろんなところに金を落としていけるからな。