新幹線で奈良に帰ってきた。もともと座席に座るつもりなんてないので、自由席の切符を買って、自由席から遠いいちばん後ろの車両の連結部分に地べたに座ることにしている。自由席から近い連結部分だと自由席に座れなかった人があぶれるから、できるだけ後ろの方の車両をねらうとよいのだ。一人になれて快適である。グリーン車よりも快適だ。
切符の売り場では指定席券を購入するためにけっこう長い列ができているが、人はなぜ椅子に座りたがるんだろうな。指定席なんて座席を移動できない分、不便を買っているようなもんではないか。知らんおっさんが隣で弁当をぺちゃぺちゃ食べ、ビールのげっぷをしてる横でじっと我慢しなければならない。
そうまでして椅子に座りたいのか。リビングにソファや椅子を置きたくなるのと同じ文明病だと思う。ごく素直に考えて、この世の中には椅子が多すぎると思わないだろうか。乗り物にも、家の中にも、仕事場にもぜんぶ椅子がある。椅子でなくてもよさそうなところはたくさんあると思うんだが。江戸時代までは日本に椅子はなかったことを考えるとなおさらだ。
地べたに座る若者を悪く言う人ってたくさんいたけど(最近聞かないが)、なんで地べたに座るのがだめなのか説明できるだろうか。「足腰が弱い証拠だ」とか言うけど、それは椅子に座りたがるあなたたちだって同じじゃないか。というか動作としては、椅子よりも地べたから立ち上がるほうが筋力がいるから、むしろ足腰の強化には地べたをおすすめしなければならない。新幹線の券は自由席よりもさらに安い「席無し」の券ができるといいな。