公衆便所や会社内のトイレには、トイレットペーパーをふたつ設置できるようになっている。家庭用のトイレでは、必ずひとつであるにも係わらず、だ。なぜそうなっているのかを考えたことはあるか。
私は今までは、単にトイレットペーパーの総量を増やすためにそうしているのだと思っていた。が、それはちょっと違うのである。
公共の場所にあるトイレというのは、トイレの使用者がトイレットペーパーを交換するのではなく、掃除係が交換するようになっている。その場合、仮にトイレットペーパーがひとつしか設置できないと、例えば掃除係がきたときにトイレットペーパーが残り10分の1くらいしか残っていなかったら、それを取り替えるかどうか迷ってしまうだろう。10分の1を利用しないまま捨てるのもアレだし、全部使い切られて誰かが困るのもアレだし・・・。
そこでトイレットペーパーが2つあれば、片方が全部使い切られていても、もう片方が残っていればトイレの使用者としても問題ないし、掃除係の人も使い切られたトイレットペーパーの芯を処分して、新しいものを補充すればいいだけになる。そういうわけだから、公共のトイレを使う場合は、二つあるトイレットペーパーを偏りなく使うのは間違っているのだ(多くの人はそうしがちだけれど)。なぜなら、両方とも10分の1しか残っていない状態だと、どちらとも10分の1を残したまま取り替えられてしまうからだ。もったいない。
家庭用のトイレにトイレットペーパーがひとつだけである理由はわかるだろう、たとえ使い切ったとしても新しく自分で補充ですればいいだけだから、ひとつで十分というわけだ。ふたつあればベターかもしれないが、大した意味はなさない。
というわけで、公共のトイレでは片方だけを使って、片方がなくなったときにはじめてもう片方を使う、という使い方をするように気をつけよう。けっこう気づきにくい部分なので、それくらいの注意書きはあってもよさそうなもんだが、私は見たことがない。