何千という群れでコロニーを形成するペンギンみたいな動物でも、番(つがい)のオスとメスを彼ら自身間違えることはないという。人間から見ればどのペンギンも同じようなのに、たいした識別能力だと思う。
でもペンギンからすれば大勢の人間が集まるとどれが誰だかぜんぜんわからないのかもしれない。彼らと私たちとでは、見ているものが同じであってもその見え方がまったく違うからだ。ペンギンに限ったことではなく、人間以外の動物がどんな世界観をもっているのかまったく想像できない。
だけど同じことは人間同士でも言えるかもしれない。私はバイクには少しも興味がないのでハーレーダビッドソンのいろんな種類が見分けられないが、好きな人にとっては100m先を走るものでも型を見分けてしまうのだろう。そういう人と私とでは、これまた世界観が違う。
だけどその違いは乗り越えられる違いである。もし私が突如ハーレーダビッドソンの魅力に目覚めたら、外観の識別は言うに及ばず、エンジン音だけで型を言い当てることができるかもしれない。
じゃあひょっとすると、ペンギンの世界観も訓練しだいで獲得できるんじゃないかと言いたい。ペンギンと同じ興味を持って生活したら。