連休中に兄の子供2人と遊んでいた。上の子はとっくに3歳になっていて、積極的に絵を描くようになっていた。しかしつまらない絵だった。人の顔をかくなら、はじめに輪郭の丸を描いて、目をぐりぐり塗って、鼻をつけて、口をあけるというようなお決まりの絵である。ああいうのを後生大事に保管したがる親の気持ちはさっぱりわからない。兄の前ではそんなこと言えないが。
どうしてつまらないかというと、親に教えられたとおりしかかかないからである。持論でしかないが、3歳のこどもというものは顔が丸であると認識するような抽象的なものの見方はできないと思う。丸ではなく、もっと見たまんまの複雑な形でしか認識できないはずだ。また、鼻というものは人間の顔の中であまり目立たないものである。目や口は感情をよく表すが、鼻は泣いていても笑っていてもあまり形は変わらない。それを主要パーツとして描き出すのは、たゆまぬ親の教育によるものとしか思えない。子供は抽象化する能力が未熟だから、もしその技能さえあれば本来写実的な絵を描くはずだ。
あとちょっと別の話だが、「子供は想像力が豊かである」とよく言われる。全否定するつもりはないが、これはほとんど幻想であると思う。子供が何か突拍子もない絵を描くのは、知識が少ないから間違えているだけだ。しいていうなら無分別を恥じないことよるものであって想像力とはあまり関係がない。想像力はかなりの部分が知識をベースにしているから、実は大人のほうが優れている。