献血の菓子
 
奈良で黒塗りのクルマにツバをはきつけた件で、自転車を担ぎながら走っているときにすねを強打し、皮下脂肪が見えるくらいの大きな傷ができていた。
私は痛みに強い男の子だから、消毒をして血がつかないように絆創膏をはったままでほっといていた。
その傷が残ったまま今日献血にいった。すると採血が終了してベッドから降りようとしたときにナースのおねいさんが傷に気づいた。
「その傷、大丈夫ですか」
「ああこれは、自転車で打ってしまって」
「ちょっと見せてもらえませんか」
絆創膏をびりびりはがして見せた。ちょっと化膿しているようだ。
「うわ痛そー、そういう傷があると献血が無効になってしまうんですよ」
「そうなんですか知りませんでした。問診にそういう項目ありましたっけ」
毎回同じ問診をされるから質問項目を覚えているくらいだが、傷に関する項目はピアスの穴あけをしたとかその程度のものしかない。どうも出血を伴う怪我をすると、そこからばい菌が入っている可能性が高く、採取した血液の中で繁殖するかもしれないのでご遠慮いただいているそうだ。
「それなら問診にそういう項目を追加するべきですね」
「おっしゃるとおりですね。気づくのがおそすぎました。大変申し訳ありませんが、いただいた血液は処分させていただきます。ほんとうにすみません」
あんまり謝られたので、献血回数はカウントされないのかーと残念がっていたが、採血したあとだったからさすがにカウントされていた。それなら何も文句無いであるよ。でも人の血液を捨ててしまうってのは、人道的に多少問題があるかもな。私は気にしないけど。
問診項目が増えるか楽しみだ。そういう改善を促すのも含めてボランティアだから。