heppoco2006-10-26

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小さな王子さま

小さな王子さま

邦題は「星の王子様」のほうが良く知られていると思う。
こども向けの本の割には人間社会の風刺があまりに直接的すぎて興ざめでした。王子様が星から星へと旅するときに出会う「おとなたち」がその風刺の対象なのだが、王子様にとってはどのおとなも理解しがたい価値観に突き動かされ、理屈っぽくてどうでもよい存在らしかった。作者はどうもおとながきらいなようで。
でも私には、どのおとなもすごく魅力的に見えたんである。特に「王様」のせりふには感服させられた。

人には、めいめい、その人のできることをしてもらわなけりゃならん。道理の土台あっての権力じゃ。もし、おまえが人民たちに、海に行って飛び込めと命令したら、人民たちは、革命をおこすだろう。わしは、むりな命令はしないのだから、みんなをわしに服従させる権利があるのじゃ。

そもそも子供は、そんなにも大人をきらっているだろうか。少なくとも、私が子供のころは、大人を嫌いではなかった。もちろん好きな大人もいたしきらいな大人もいた。でもそれは好きな子供がいてきらいな子供がいるのと同じことだった。大人と子供の区別は関係なかった。
思うに、子供の視点のつもりで書かれた本だからこそ、おとなってばかですね的な風刺を入れたのだろうが、むしろその風刺がませた印象をかもしていて逆効果である。「大人が演じる子供の視点」を脱しきれていない感じ。