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私は小説とか文学というものがあまり好きではない(文学部だったけど)。ストーリーその他の展開がどうのこうのといった事柄には関心がないからだ。このストーリーはおもしろい!と思うことも、決してなくはないが・・・それがいちばん大事なことではないとおもう。
これはきっと多くの人にとってもそうで、たとえば友人がある小説を読んだという話をしだしたときに、どうだった?と聞くと、よかった、という。どのへんが?と聞くと、んー話の筋としてはこんな感じで、まあよくあるようなストーリーだったけど、なんかわからないけどよかった、という答えが返ってきたりする。そういう話を聞いたとき、ああ、それはきっといい小説だな、と思うのは私だけではないはず。
つまりその「なんかわからないけど」というところが小説etcの核となるところであって。小説や文学が好きではないにもかかわらず、読んでいるのは、なんかそれを楽しみたいからなのかもしれない。
文体とか、表現とかによって、じわじわもたらされるところ。そこが、大事だ。書くほうも、おそらくそこにいちばん気を遣っている。
- 作者: 町田康
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/04/14
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